花曇(はなぐもり) 晩春
【子季語】
養花天
【解説】
桜が咲く頃の曇り空を言う。雲が低く垂れ込めるほどではなく、比較的明るい曇り空である。太陽に暈がかかることもある。「養花天」は雲が花を養うという発想から生まれた言葉。
【来歴】
『世話盡』(明暦2年、1656年)に所出。
【例句】
花ぐもり田螺のあとや水の底
丈草「菊の香」
花ぐもり心のくまをとりけらし
杉風「杉丸太」
花ぐもり朧につづくゆふべかな
蕪村「落日庵句集」
咲満る花に淋しき曇り哉
正岡子規「子規句集」
門の花静かに白し花曇
原石鼎「花影」
花曇尾の上の鐘の響かな
夏目漱石「漱石俳句集」
松原の中の小道や花ぐもり
日野草城「花氷」
水を飲む猫胴長に花曇
石田波郷「酒中花」