椎の花(しいのはな/しひのはな) 仲夏
【子季語】
花椎
【解説】
ブナ科の常緑高木の総称を椎という。ツブラジイとその変種のスグダジイがあり、暖地に自生して大樹になる。六月頃、雌雄別々の穂状花をつけ、強烈な匂いを発散する。
【科学的見解】
椎は、ブナ科シイ属の植物に対する限定的な呼称であり、スダジイやツブラジイ等が含まれている。ともに本州から琉球までに野生もしくは街路樹や公園木として植栽されている常緑性の高木である。照葉樹林の代表種・優占種でもある。両種とも雄花と雌花の単性花序を形成し、生臭い匂いを漂わせることで昆虫に受粉を頼る虫媒花である。(藤吉正明記)
【例句】
旅人の心にも似よ椎の花
芭蕉「続猿蓑」
椎の花人もすさめぬにほひかな
蕪村「写経社集」
椎の花古葉まじりに散り敷きし
松本たかし「野守」