藻の花(ものはな) 仲夏
【子季語】
花藻
【解説】
金魚藻、梅花藻など、清冷な小川や湖沼の流れの中に咲く淡水藻の花を総じて、藻の花という。小さく、白やうす黄色など地味で目立たない。
【例句】
藻の花やこれも金銀瑠璃の水
重頼「佐夜中山」
藻の花や金魚にかかる伊予簾
其角「水ひらめ」
藻の花をはなれよ鷺は鷺の白
北枝「玉まつり」
渡りかけて藻の花のぞく流れかな
凡兆「猿蓑」
藻の花のとぎれとぎれや渦の上
桃隣「別座鋪」
藻の花や雲しののめの水やそら
蕪村「夜半叟句集」
川越えし女の脛に花藻かな
几董「井華集」
藻の花や引つかけて行く濡れ鐙
暁台「暁台句集」
引き汐やうき藻の花のさわぎ立つ
蝶夢「草根発句集」
藻の花の重なりあうて咲きにけり
正岡子規「子規句集」