野蒜(のびる) 仲春
【子季語】
山蒜/根蒜/沢蒜/小蒜/野蒜摘む
【解説】
ユリ科の多年草。畑のまわりや畦などでよく見かける。細い青ネギのような葉がひと所にかたまって生える。若い葉や白色球状の鱗茎を、ゆでたり焼いたり、生のまま食べたりする。ニラやニンニクに似た香りを持つ。あざやかな緑が春らしい。夏に少し紫がかった白色の花をつける。
【科学的見解』
野蒜(ノビル)は、北海道から沖縄にかけて広く分布し、人里付近に特に多く自生している。ノビルは、地下にある鱗茎により子球が増殖して子孫を残すと同時に、花茎も形成し、その一部もしくは全部が珠芽(むかご)に変わる面白い特徴を有する。(藤吉正明記)
【例句】
野蒜掘れば強きにほひや暮の春
松本たかし「松本たかし句集」