【子季語】
涅槃吹、涅槃嵐
【解説】
涅槃会「陰暦二月十五日」はお釈迦様の入滅の日にあたり、この頃に吹く風の事をいう。美しい響きからも西方浄土が想象される季語である。時期的には春の彼岸前後にあたり、一般的に浄土からの迎え風などとも言われる。
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冬桜(ふゆざくら)三冬
蛇穴に入る(へびあなにいる)仲秋
【子季語】
秋の蛇、蜥蜴穴に入る、蟻穴に入る
【解説】
蛇は冬眠のために穴に入る。秋の彼岸に穴に入り、春の彼岸に穴を出るといわれているが、地域により差がある。一つの穴に数匹から数十匹集まり冬を越す。
【例句】
それぞれにかたづき顔や蛇の穴
浪化「浪化上人句集」
穴撰みしてやのろのろ野らの蛇
一茶「八番日記」
蛇穴に入るや彼岸の鐘が鳴る
正岡子規「子規句集」
蛇穴に入りけり菌生えにけり
正岡子規「子規句集」
蛇穴や西日さしこむ二三寸
村上鬼城「鬼城句集」
牡蠣船(かきぶね)三冬
【子季語】
牡蠣料理、牡蠣鍋
【解説】
酢牡蠣、牡蠣フライ、牡蠣ちり、牡蠣鍋、牡蠣雑炊、牡蠣ご飯など、牡蠣料理を食べさせる屋形船。広島に起こり、大阪で発達。
【例句】
牡蠣船に寄らずの水の関所なる
久米三汀「返り花」
牡蠣舟のともりて満ちぬ淀の川
村上鬼城「定本鬼城句集」
牡蠣船や静かに居れば浪の音
日野草城「花氷」
三椏の花(みつまたのはな)仲春
北窓塞ぐ(きたまどふさぐ)初冬
【子季語】
北塞ぐ、北窓閉づ、北窓塗る
【解説】
北風を防ぐために北向きの窓を塞ぐこと。板で塞いだり目ばりをしたりする。
【例句】
北の窓日本海を塞ぎけり
正岡子規「春夏秋冬」
北窓を根深畠にふさぎけり
村上鬼城「定本鬼城句集」
蜘蛛(くも)三夏
畦豆(あぜまめ)晩秋
間引菜(まびきな)仲秋
秋収め(あきおさめ、あきをさめ)
晩秋
【子季語】
秋揚げ、秋じまい、土洗ひ、蓆たたき、田仕舞、秋忘
【解説】
その秋の収穫がすべて終了したということ。田植から収穫まで、作業に携わった人々が寄り合いお祝いをする。餅を搗く場合もある。呼び名も方法も地域によって違うが、いずれにしても春からの長い農作業のねぎらいと、感謝の意味が込められている。
【例句】
天と地の間の秋を収めけり
長谷川櫂「初雁」