【子季語】
一夜飾り、輪飾り
【解説】
新年に年神さまを迎える準備として、注連縄を張り神聖な空間を示す。その土地によって飾るものも少し異なるが、穂俵や昆布など縁起のよいものが多い。また飾る場所も玄関や神棚のほか、台所や竈など様々である。一日飾りはよくないとされ、暮の三十日までに飾る。
【例句】
宵ひそと一夜飾りの幣裁ちぬ
富田木歩「富田木歩句集」
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初霜(はつしも)初冬
【解説】
冬になってはじめて降りた霜。庭や畑に初霜を見付けた時には、冬の到来を強く感じる。
【例句】
初霜や菊冷え初むる腰の綿
芭蕉「荒小田」
初霜や小笹が下のえびかづら
惟然「藤の実」
はつしもや飯の湯あまき朝日和
樗良「樗良発句集」
初霜や茎の歯ぎれも去年まで
一茶「文化句帖」
初霜に負けて倒れし菊の花
正岡子規「季語別子規俳句集」
冬の日(ふゆのひ)三冬
【子季語】
愛日、暮れやすき日
【解説】
冬の太陽や日射。もしくは冬の一日のことをいう。太陽をさす場合は冬日という言い方もある。太平洋側では異常乾燥注意報など出され、日本海側では大雪による被害がもたらされることもある。
【例句】
冬の日や馬上に氷る影法師
芭蕉「笈の小文」
冬の日のさし入る松の匂ひかな
曉台「曉台句集」
冬の日の入りて明るし城の松
正岡子規「季語別子規俳句集」
ガラス越に冬の日あたる病間かな
正岡子規「子規俳句集」
六畳の奥迄冬の日ざしかな
正岡子規「子規俳句集」
山寺や冬の日残る海の上
夏目漱石「漱石全集」
旗のごとなびく冬日をふと見たり
高浜虚子「五百五十句」
冬日濃しなべて生きとし生けるもの
高浜虚子「五百五十句」
大仏に袈裟掛にある冬日かな
高浜虚子「六百句」
やはらかき餅の如くに冬日かな
高浜虚子「六百五十句」
大空の片隅にある冬日かな
高浜虚子「六百五十句」
地球一万余回転冬日にこにこ
高浜虚子「七百五十句」
椅子に在り冬日は燃えて近づき来
松本たかし「石魂」
中空で黄昏てゐる冬日かな
長谷川櫂「虚空」
鴉の子(からすのこ)三夏
【子季語】
烏の子、子鴉、親鴉
【解説】
鴉は夏に子を育てる。お寺の杉の木や神社の森など人家の近くにも巣をつくり、卵は普通二、三個程度。子育て中は親鳥も気が立っているのか、巣の下を通ると人を威嚇したりする。
【例句】
口あけて屋根迄来るや烏の子
正岡子規「寒山落木」
風切羽切られて育つ烏の子
村上鬼城「定本鬼城句集」
くちばしのあきつぱなしや烏の子
高田正子「花実」
涅槃西風(ねはんにし)仲春
【子季語】
涅槃吹、涅槃嵐
【解説】
涅槃会「陰暦二月十五日」はお釈迦様の入滅の日にあたり、この頃に吹く風の事をいう。美しい響きからも西方浄土が想象される季語である。時期的には春の彼岸前後にあたり、一般的に浄土からの迎え風などとも言われる。
冬桜(ふゆざくら)三冬
蛇穴に入る(へびあなにいる)仲秋
【子季語】
秋の蛇、蜥蜴穴に入る、蟻穴に入る
【解説】
蛇は冬眠のために穴に入る。秋の彼岸に穴に入り、春の彼岸に穴を出るといわれているが、地域により差がある。一つの穴に数匹から数十匹集まり冬を越す。
【例句】
それぞれにかたづき顔や蛇の穴
浪化「浪化上人句集」
穴撰みしてやのろのろ野らの蛇
一茶「八番日記」
蛇穴に入るや彼岸の鐘が鳴る
正岡子規「子規句集」
蛇穴に入りけり菌生えにけり
正岡子規「子規句集」
蛇穴や西日さしこむ二三寸
村上鬼城「鬼城句集」
牡蠣船(かきぶね)三冬
【子季語】
牡蠣料理、牡蠣鍋
【解説】
酢牡蠣、牡蠣フライ、牡蠣ちり、牡蠣鍋、牡蠣雑炊、牡蠣ご飯など、牡蠣料理を食べさせる屋形船。広島に起こり、大阪で発達。
【例句】
牡蠣船に寄らずの水の関所なる
久米三汀「返り花」
牡蠣舟のともりて満ちぬ淀の川
村上鬼城「定本鬼城句集」
牡蠣船や静かに居れば浪の音
日野草城「花氷」
三椏の花(みつまたのはな)仲春
北窓塞ぐ(きたまどふさぐ)初冬
【子季語】
北塞ぐ、北窓閉づ、北窓塗る
【解説】
北風を防ぐために北向きの窓を塞ぐこと。板で塞いだり目ばりをしたりする。
【例句】
北の窓日本海を塞ぎけり
正岡子規「春夏秋冬」
北窓を根深畠にふさぎけり
村上鬼城「定本鬼城句集」


