【子季語】
女郎蜘蛛
【解説】
節足動物クモ目の総称。網を張るものばかりではなく、特殊な巣を作るクモや、徘徊性のクモもいる。日本には約千二百種類が知られる。
【例句】
蓮の葉に蜘蛛下りけり香を焚く
夏目漱石「漱石全集」
蜘蛛に生れ網をかけねばならぬかな
高浜虚子「七百五十句」
沢の辺に童と居りて蜘蛛合
芝不器男「芝不器男句集」
晩秋
【子季語】
秋揚げ、秋じまい、土洗ひ、蓆たたき、田仕舞、秋忘
【解説】
その秋の収穫がすべて終了したということ。田植から収穫まで、作業に携わった人々が寄り合いお祝いをする。餅を搗く場合もある。呼び名も方法も地域によって違うが、いずれにしても春からの長い農作業のねぎらいと、感謝の意味が込められている。
【例句】
天と地の間の秋を収めけり
長谷川櫂「初雁」
【子季語】
まや出し
【解説】
冬のあいだ厩で飼っていた牛馬を、春になって野に放つこと。
【例句】
頂につらなる雪に厩出し
前田普羅「飛騨紬」
【解説】
冬に木の芽や草の芽が萌え出しているさま。

【子季語】
ひこばゆ
【解説】
春、樹木の切り株や根元から萌え出る若芽のこと。名前は「ひこ生え」に由来する。
【科学的見解】
ひこばえは、萌芽とも呼ばれ、主に広葉樹の樹木で見られる現象である。里などでは、昔から炭や薪を得るために、クヌギやコナラなど広葉樹を主体とした雑木林が管理されてきた。樹木の伐採後、種子や苗を植えるよりも、切り株から発生した萌芽を生かすことで、より樹木が早く成長し、効率的な木材生産を行うことができる。この管理のやり方を、萌芽更新または萌芽再生と呼ぶ。(藤吉正明記)
【例句】
蘗に杣が薪棚荒れにけり
芝不器男「芝不器男句集」
あらぬ木の蘗えにけり捨屋敷
松瀬青々「妻木」
大いなる蘗に日の当りけり
原月舟「国民俳句」