【子季語】
名草枯る/枯葭/枯薊/枯鶏頭/枯萱/枯竜胆/枯葛/水草枯る
【解説】
女郎花や葛、鶏頭等の名前のついている草が枯れたことを詠むことであって、「名の草枯る」という語自体を詠むことではない。
かなぐれば枝に跡あり枯かづら
杉風「喪の名残」
まぎれぬや枯れて立つても女郎花
一茶「八番日記」
【解説】
臼田亜浪の忌日で、陰暦十一月十一日。明治十二年(一八七九)に長野県の小諸に生まれ、大正四年(一九一五)に「石楠」を創刊した。『定本亜浪句集』などの著書がある。昭和二六年(一九五一)に没、七二歳であった。
【解説】
和服で過ごしている時、寒さのために手を引っ込めて懐に入れることである。昔から、だらしないと見なされてきたが、和服特有の季節感がある。
【解説】
陰暦十一月十五日。松永貞徳(一五七一~一六五三)の忌日。安土桃山から江戸初期に活躍した。俳人であり歌人であり連歌師でもある。里村紹巴、細川幽斎らに学び、後に俳諧を文芸様式として確立させた。貞門の祖といわれる。
【子季語】
旅始/旅行始
【解説】
新しい年を迎えてはじめての旅にでること。年があらたまり、ふだんとは違った心持ちでの旅となる。
【例句】
初旅を伊勢路へ雪の加太越
大谷句仏「我は我」
初旅の晴ればれしさよ焼津富士
大谷句仏「我は我」
【子季語】
春駒舞/春駒万歳/春駒踊
【解説】
正月、家々をまわり、新春の祝詞を述べる門付け芸のひとつ。木でつくった馬の首を腰にくくりつけたり手に持ったりして、三味線や太鼓のはやしにのってにぎやかに歌い、舞う。
【例句】
春駒やよい子育し小屋の者
太祇「太祇句選」
春駒や男顔なる女の子
太祇「俳諧新選」
春駒やふり分け髪の振りくらべ
素丸「素丸発句集」
春駒や人が真似てもいさましき
一茶「七番発句集」
春駒や己が宿より舞ふて出づ
松瀬青々「妻木」
【子季語】
初泣
【解説】
新年になってはじめて泣くこと。子どもが泣くと、一年中泣いていることになるなどと言ってはやしたてたりする。
【例句】
泣初や嬉し涙のせきあへず
麻田椎花「ホトトギス雑詠選集」
【子季語】
騎馬始/馬場始/騎始/初騎
【解説】
新年はじめて馬に乗る儀式。室町幕府では正月二日、江戸時代には正月五日に行われた。今では日を限らず、新年にはじめて馬に乗ることをいう。
【例句】
乗初に下手のあたるや門の松
木導「類題句集」
騎初に厩を出づる良駒哉
青木月斗「俳句三代集」
騎初や鞭加へ越す雪野原
広江八重桜「続春夏秋冬」
【解説】
元日の晴天のこと。元日が晴れであると五穀豊穣のめでたいきざしとして喜ばれる。
【例句】
初晴の三日や羽子もほのめきて
大谷句仏「我は我」
初晴や堂椽に見る阿弥陀峯
大谷句仏「我は我」
初晴にはやきく凧のうねりかな
吉田冬葉「懸葵」
初晴や野に出でゝ見る富士筑波
吉田冬葉「懸葵」