【子季語】
葎草
【解説】
クワ科の蔓性一年草。茎が針金のように強靭で、葉は掌状に深く裂け、表面がざらついている。雌雄異株で、晩夏、雄花は枝先に大きな円錐状の花序につく。
【科学的見解】
カナムグラは、アサ科(旧クワ科)の蔓性一年草で、北海道から九州までの荒れ地や林縁などに生育している。一年生ではあるが、発芽後の成長がよく、秋には大群落となる。茎や葉などに下向きの刺毛を持ち、周りの植物に絡みながら茎を伸ばして生育する。近縁種としては、ビールの苦み成分で有名なホップ(標準和名:カラハナソウ)が知られている。(藤吉正明記)
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田植花(たうえばな/たうゑばな) 仲夏
【子季語】
田植草/早乙女花
【解説】
田植の頃に咲く花のこと。田植の目安となる花で地方によって花の種類は異なる。
青歯朶(あおしだ/あをしだ) 初夏
【子季語】
歯朶若葉
【解説】
歯朶は新年の季語で歯朶植物の総称である。高温多湿、日陰を好み、ぜんまい、わらびなど、夏になって青々と葉を広げるものが多い。
苧(からむし) 三夏
【子季語】
苧麻/真苧/白苧/草真苧/ラミー
【解説】
ラクサ科カラムシ属の多年草。本州から四国・九州の山野に自生する。昔は繊維を採るために栽培したが現在では野生化している。草丈は一・五メートルくらい。七月から九月ごろにかけて、淡緑色の目立たない花穂をつける。茎(から)を蒸し(むし)て皮をはいだことからこの名がある。
【科学的見解】
イラクサ科の苧(カラムシ)は、近縁植物が複数存在する。一般的に野山でよく見るものは、カラムシである場合が多いが、その他に葉の裏の白い綿毛がほとんど見られないアオカラムシや、逆に葉や葉柄に粗い綿毛が密生して生えるナンバンカラムシなどが存在する。また、そのナンバンカラムシが大型化した種としてラミーという植物が存在する。それらの繊維(苧麻)を活用して生み出された布は、上布(越後上布、宮古上布、八重山上布など)と言われ、現在でも一部の地域で生産されている。(藤吉正明記)
いちび 晩夏
【子季語】
桐麻
【解説】
アオイ科イチビ属の一年草。インド原産で、繊維をとるために栽培されていたが、今では野生化している。草丈は一メートルからから二メートルくらい。全体がこまかい毛で包まれる。七月から八月ごろ、五弁の黄色い花を咲かせる。
【科学的見解】
イチビは、インド原産の外来植物であり、古くから繊維植物として栽培されてきた。現在では、世界の亜熱帯から亜寒帯にかけて幅広く分布している。別名は、キリアサ(桐麻)とも呼ばれている。日本では、飼料や野菜などの畑地に侵入し、最も強害な雑草の一つとなっている。(藤吉正明記)
初神楽(はつかぐら) 新年
【子季語】
神楽始
【解説】
新年になり、はじめて神前で神楽を奏すること。緋の袴もあざやかな巫女たちが鈴や榊を手に神楽を奏し、国家の安泰を祈念する。各地の神社で行われるが、特に、一月三日に奈良・春日大社で行われる神楽始式は有名。
蛙狩の神事(かわずがりのしんじ/かはづがりのしんじ) 新年
【子季語】
蛙飛びの神事
【解説】
正月元旦の朝、長野県・諏訪大社上社本宮で行われる神事。社地を流れる御手洗川で冬眠中の蛙を掘り起こし、柳の弓につがえた竹の矢で射抜いて神前に捧げ、一年間の安泰と五穀豊穣を祈願する。諏訪の七不思議のひとつ。
延寿祭(えんじゅさい) 新年
【子季語】
延寿盃/延寿箸/歳旦祭
【解説】
神武天皇を祭神とする奈良県・橿原神宮の元日の神事。年が改まると同時に大鳥居付近で篝火を焚き、祭の庭に庭燎を設えて神楽を奉納する。かつては参詣者に延寿盃や延寿箸を配っていたが、この風習は廃れ、現在は歳旦祭と呼ばれている。
産土神参(うぶすなまいり/うぶすなまゐり) 新年
【解説】
産土神とは生まれた土地の神様のことで、年頭、この社に氏子・産子として参詣し、一家や一村の安全を祈願する。もともと産土神は、氏神や鎮守の神とは別個のものであったが、近世以降、混同視され、現在では同義語として扱われている。
繞道祭(にょうどうさい/ねうだうさい) 新年
【子季語】
御神火まつり
【解説】
大物主神が鎮まる三輪山を御神体とする大神神社(奈良県桜井市)の元旦の神事。午前零時、宮司が神前で古式作法により御神火を起こす。この御神火はやがて二本の大松明(長さ約三メートル)に移され、白装束の氏子の若者が担ぎ、暗闇の中、摂社・末社十九社を巡拝する。繞道祭の「繞」は巡るという意味でここに由来する。御神火が境内の拝戴所に移されると、参拝者らは火縄に移して各家に持ち帰り、神棚の献灯や雑煮などの祝火とする。これによってその年の無病息災を祈念する。
【例句】
国原を繞道の火のはしりをる
阿波野青畝「紅葉の賀」
