【子季語】
満天星躑躅
【解説】
ツツジ科の落葉灌木。ドウダンとは灯台の意味で、分枝する形が 古い燭台に似ていたことに由来する。四月頃、若葉とともに長い 柄のある壺型の白い花を多数ぶら下げる。鈴蘭のような可憐な花 も愛されるが、秋の紅葉も実に鮮やか。
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鹿火屋(かびや)三秋
【子季語】
鹿小屋、鹿火屋守
【解説】
山の田畑を鹿や猪から守るため、火を焚いて獣がきらう臭いを燻 らせる。この火を鹿火といい、その番小屋が鹿火屋。ここで、番 人が一晩中、大声をあげたり、板や銅鑼などを打ち鳴らしたりし たという。
【例句】
鹿小屋の火にさしむくや庵の窓
丈草「続有磯海」
淋しさにまた銅鑼うつや鹿火屋守
原石鼎「花影」
椿の実(つばきのみ)初秋
荻(おぎ)三秋
【子季語】
風持草、風間草、寝覚草、浜荻、荻原
【解説】
湿地に群生するイネ科の大型多年草。薄とよく似るが、茎は見上 げるほど高く、その頂に銀白色の大きな花穂をつける。風に葉の 擦れ合う音がわびしさを誘うことから、古来より秋風とともに歌 に詠まれてきた。
【科学的見解】
荻(オギ)は、イネ科ススキ属の在来多年草であり、北海道から九州まで分布している。オギは、水辺を好むため、河川や池沼などに群生している。花期は、九月から十月である。ススキに似ているが、小花の先端の芒(のぎ)の有無で両種を区別できる。オギの小花には、のぎがない。(藤吉正明記)
【例句】
荻の穂や頭をつかむ羅生門
芭蕉「芭蕉翁発句集」
鉢に植ゑてかひなき荻のそよぎかな
来山「雀の森」
浜荻や海士の塩木の火吹竹
言水「江戸新道」
見ぬ恋や夜のあらしの荻をうつ
大江丸「俳懺悔」
月落ちて荻より起る嵐かな
紫暁「なにはの月」
荻の葉に折々さはる夜舟かな
内藤鳴雪「春夏秋冬」
沈丁花(じんちょうげ、ぢんちやうげ)三春
【子季語】
ちやうじぐさ、瑞香、沈丁、丁字
【解説】
中国原産の常緑灌木。鈍い光沢のある卵形の葉をもち、庭や垣に 植えられる。薄紅の小さな薬玉のような花を球状につける。花は 名の示すとおり沈香と丁字の香を併せもち、その鮮やかな匂いで 春の到来を告げる。
【科学的見解】
沈丁花(ジンチョウゲ)は、中国原産と言われているが、自然分布域は明らかになっていない。日本には、すでに室町時代に渡来していた記録がある。庭先や公園などに人家近くに植栽されているのがほとんどで、自然の野山にはほどんど見られない。(藤吉正明記)
【例句】
沈丁花鉢に愛せり堺すぢ
大魯「発句題林集」
沈丁や死相あらはれ死相きえ
川端茅舎「華厳」
沈丁の香の強ければ雨やらん
松本たかし「松本たかし句集」
寒波(かんぱ)晩冬
【子季語】
寒波来る、冬一番
【解説】
冬、シベリア方面から波の様に周期的に寒気団が来ること。気温 もぐっと下がり厳しい寒さに見舞われる。
【例句】
凛々と目覚時計寒波来
日野草城「銀」
夜店(よみせ)三夏
クロッカス 初春
金亀虫(こがねむし)三夏
【子季語】
黄金虫、かなぶん、ぶんぶん
【解説】
鞘翅目、コガネムシ科の甲虫。色には金属光沢がある。夏の夜、羽音を鳴らして灯火を飛び回り、その音から別称としてぶんぶんと呼ばれる。仰向けにひっくり返るとなかなか起き上がれない。
【例句】
叢や長者屋敷の金亀虫
茂秋「発句題叢」
金亀虫擲つ闇の深さかな
高浜虚子「五百句」
裏富士の月夜の空を黄金虫
飯田龍太「今昔」




