【子季語】
寒泉、冬泉
【解説】
冬の泉には独特の寂しさがある。又澄んだ水が湧き出ている様は夏の泉にはない、さえざえとしたものが感じられる。
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泉(いずみ、いづみ)三夏
【子季語】
泉川、やり水
【解説】
山中の岩間などから清冽な地下水が地表に湧き出して、小さな流れや池となったもの。湧き出るときの静かな音や、水の透明感が夏の涼しさを呼ぶ。清らかな水であることから、古くは旅人が乾いた喉を潤した。
【例句】
結ぶより早歯にひゞく泉かな
芭蕉「都曲」
緑わく夏山陰の泉かな
蓼太「蓼太句集三編」
さゝれ石もわきて泉の流れかな
紹巴「大発句」
青松葉見えつゝ沈む泉かな
正岡子規「子規句集」
刻々と天日くらきいづみかな
川端茅舍「華厳」
千年の泉ごぼりとたなごころ
加藤楸邨「死の塔」
泉への道後れゆく安けさよ
石田波郷「春嵐」
淋しさの底より湧ける泉かな
長谷川櫂「初雁」
平泉藤原祭(ひらいずみふじわらまつり/ひらいづみふぢはらまつり) 晩春
【解説】
岩手県平泉町中尊寺と毛越寺で五月一日から五日にかけて行われる供養祭。期間中「弁慶の力餅つき」や能、狂言が奉納されるが、 メーンは五月三日の「源義経公東下り絵巻」で、総勢九十名余の華やかな武者行列が、毛越寺を出発して中尊寺まで練り歩く。
泉涌寺舎利会(せんにゅうじしゃりえ/せんゆうじしやりゑ) 晩秋
【解説】
十月七、八日、京都市東山区の泉涌寺で行われる、仏舎利を拝す法要こと。仏舎利は、釈迦の遺骨。鎌倉時代の僧湛海が、宗から持ち帰ったもので、多くの人々の信仰を集めた。
泉涌寺開山忌(せんにゅうじかいさんき/せんゆうじかいさんき) 晩春
【解説】
京都市東山区泉涌寺開山月輪大師俊丈の忌日法要。四月一日から八日掛けて行われる。大師命日にあたる八日には、僧侶の行列が本坊より仏殿へ進み、楞厳咒(りょうごんしゅ)を読誦しながら堂内を廻るという、禅宗様式の真儀楞厳大会が厳粛に営まれる。
神泉苑祭(しんせんえんまつり/しんせんゑんまつり) 初夏
【解説】
五月三日、京都市の神泉苑の苑内に祀られている「善女龍王社」の祭礼。神仏習合の様子を窺い知ることができる。お稚児さんのお練、子供神輿、よかろう太鼓、大般若経転読や神泉苑狂言など見所が多い祭礼である。
泉殿(いずみどの/いづみどの) 三夏
【子季語】
釣殿/水殿/水亭/泉屋
【解説】
観月や納涼のために庭の泉や池のほとりに建てられた建物。藤原時代の上流貴族達に好まれ、寝殿造りの様式に伴い発達した。水を渡る風や映る光を楽しむ、王朝の人々の雅やかな雰囲気が残る季語である。
【例句】
しろがねの器ならべつ泉殿
松瀬青々「鳥の巣」
泉殿に朗詠うたふ声更けぬ
正岡子規「季語別子規俳句集」
水番(みずばん、みづばん)仲夏
【子季語】
堰守、夜水番、水番小屋、水盗む、水盗人、水守る
【解説】
田に引く用水を、よその田に盗まれないように見張りすること。夏の盛り、農家では田水が不足しがちで水泥棒が現れたりした。
【例句】
銀河天に高張立てし水の番
泉鏡花「鏡花全集」
水番の大ごゑわたる朝田かな
五十崎古郷「古郷句集」
がたと鳴る水番小屋の掛時計
高田正子「花実」
夏帽子(なつぼうし、なつばうし)三夏
避寒(ひかん)晩冬
【子季語】
避寒宿、避寒旅行、避寒地
【解説】
冬の寒さを避けるために温暖な地や温泉などへ出向いて一時期を過ごすこと。夏場の避暑のようには混雑しない。老人や病人向けといえるであろう。
【例句】
大浪の打つ暖かき避寒せり
河東碧梧桐「碧梧桐句集」
舟寄せて漁翁の見舞ふ避寒かな
河東碧梧桐「碧梧桐句集」
縋り乗る避寒の宿の馬かりて
河東碧梧桐「碧梧桐句集」
橙に天照る日ある避寒かな
松本たかし「松本たかし句集」
佳きひとの髪を結はざる避寒かな
日野草城「昨日の花」