リレーエッセイ031 鏡餅 北側松太
子どものころは、それぞれの家で餅をついた。わが家も親戚の餅を含めて五臼くらいは搗いたろうか。暮れの楽しい行事であったが、いつの間にか、餅は餅屋に搗いてもらうようになった。切口や形状などは、家で搗いたものよりもはるかに美しかった。そのうちに 餅を搗いてくれるところもなくなり、十年ほど前からは、雑煮用もお供餅もスーパーで買い求めるようになった。
この十一日は鏡開き、神仏に供えたものをいただいて、無病息災を願うということだろうか。昔の鏡餅は石のように固く、切ったり割ったりするのに難渋したが、スーパーで求めた鏡餅は真空パックされているのでとても柔らかい。鏡餅はプラスチックの形状だけで、その中にパックされた幾つかの切餅が入っているものもある。年神様や竈の神様に供えるには、まことに安直としかいいようがないのだが、安直なご利益でいいと思えば勘定があっているのかもしれない。(きごさい理事 写真=ぜんざい)
