リレーエッセイ042 父の日 髙田正子
地震雷火事親父……申すまでもなく、古来怖いものベスト4とされるものです。初めて耳にしたのは、たしか小学生のときでした。
子どもなりに語呂の良さに惹かれたのか、勝手な節回しでよく口ずさんでいたようです。口からでまかせで、ほとんどが復元不可能ですが今でも2パターンくらいはうっすらと思い出せます。ある日、勤めから帰った父が着替えながら「そんなに怖いか?」と問うたのです。こちらはほとんど無意識に歌っていますから、突然現実に引き戻されてきょとんとしてしまいました。「おとうさんはおとうさんでおやじじゃないよー」と答えたような……。雷を落とすことなどほとんど無い大甘の父でしたが、母が立てていましたから、家庭内における父の存在感は特別なものではありました。
この4番目の親父には「大山風(おおやまじ)=台風」の転訛とする説があるらしいです。ただ、ネットでざっと検索した範囲では典拠は不明。地震と雷は言うまでもなく、昨年の台風禍を思うにつけても揺るぎない怖さですが、個人的には雷の縁語としての親父に1票を投じたいところです。
さてまもなく「父の日」。わが家では長らく「父の日」とは、わが子にとっての父、つまり夫の日でありました。が、去年から私は、「私の父」の日をすることにしています。母はすでに亡く、父も80歳を越えたという逃れようのない現実もありますが、所属する俳句結社の全国大会なるものが、去年から1週間ずれて父の日にかぶっているのです。
「邪魔モノはいなくなるから、かわいい娘たちと幸せな父の日を迎えてね~~」と言い置いて出かけるときの夫の複雑な顔つき。今年もなんとはなしに楽しみにしているところです。(きごさい理事 写真=薔薇)
