ハウステンボスの薔薇の詩碑設置セレモニー&薔薇の句会
2017年5月8日(月)、晴れ渡ったハウステンス(以下HTB)の薔薇園の観覧車の下のスペースに、特設ステージと40-50の椅子が並べられている。背後に咲き競う薔薇の香りが風にふわりと乗ってくる。
昨年に引き続き、薔薇の詩碑20本をHTBアートガーデンの薔薇の園(2万7千平方メートル)に立てるセレモニーを行った。詩碑は、4月に亡くなった詩人の大岡信さんの詩を始め、俳句、短歌からリルケ、シェークスピアまで、古今東西の薔薇の詩を20選び、詩碑を設置した。薔薇の詩碑は、昨年分と合わせて41本となった。その内のひとつは、「一羽でも宇宙を満たす鳥の聲 二羽でも宇宙を充満する鳥の静寂」ライフストーリーという詩を大岡信追悼の詩碑として設置した。
季語歳代表の長谷川櫂代表は、若き日のニュージーランド滞在と薔薇園の思い出を語り、「日本一のHTBの薔薇園で、薔薇を見るだけでなく、薔薇の詩を口ずさんで薔薇の宇宙を楽しんでほしい」とあいさつ。続いて、HTBの執行役員 企画経営室室長の高田孝太郎氏が「薔薇の詩碑によって、薔薇園が文化の香りを感じる場所にもなる」と述べ、季語歳へ詩碑の寄贈に対するお礼を述べた。また、朝長緑化建設の山下武夫氏は、今年の薔薇の出来のすばらしさと詩碑が倍に増えて楽しみがひろがった、と語った。最後に、恋の俳句大賞の選者の趙栄順さんより、第五回、第六回の大賞句の発表と受賞作の講評が行われた。
薔薇の衣装をまとった、HTB歌劇団の椿れいらさんら三人の女優さんが舞台に上り、一人三詩ずつ、めりはりのある美しい声で朗読をした。さらに、薔薇の歌二曲を歌い上げ、青空に、薔薇の園に、歌声が響き渡った。観客席のうしろには、HTB歌劇団の若手の劇団員の人たちが、先輩のパフォーマンスを熱心に見つめる姿が、印象的であった。
東京からの参加組は、話題のフロントがロボットの「変なホテル」に滞在し、一年ごとに進化するHTBのアトラクションをスタッフの案内で見学した。HTB歌劇団やVRのアトラクション、ロボットの展示やレストラン、光のショーなど、先端技術とエンターテイメントの融合を目指すHTBの2017年は、現在観客動員数は二桁増の人気ぶりだという。
午後1時より、HTBの中心に聳え立つタワーの薔薇園一望の会議室で、長谷川櫂選の「薔薇の句会」が行われた。長崎、福岡の方々も加わり、和気あいあいの雰囲気で座は進み、いつもより多い三句座となった。
山桜植樹からスタートした季語と歳時記の会のHTBでのイベントは、5年目で一区切りとする。今後は、改めて、双方で企画を考えて提案し合うこととなった。(西川遊歩記)
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〈薔薇の句会〉 長谷川櫂選
【第一句座】
♦特選
はつなつの君風となれ薔薇となれ 栄順
柏餅フランス人の伯母となり 弘美
ゴールデンウィーク最後の夕陽浴ぶ 緑
観覧車ゆつくり回る暑さかな 栄順
♦入選
白薔薇に淡き翳ある昼下がり 酸模
薔薇の園薔薇守る人も詩人かな 栄順
マロニエの花の香れる月の夜 光枝
春塵かばらの花粉かまみれけり 光枝
♦選者の一句
花びらの波打つ薔薇の暑さかな 櫂
【第二句座】
♦特選
白ばらの氷のごときつぼみかな 栄順
観覧車日がな一日薔薇の空 酸模
回るかつ歌ふ五月の洗濯機 緑
明易やばらの花びら運ぶ舟 光枝
花びらに炎の影や薔薇くづれ 遊歩
♦入選
波音やもう枇杷の実の熟るるころ 真知子
マロニエの花の夕日の濃かりけり 光枝
億万の薔薇の一輪の薔薇ならん 栄順
薔薇ひらく君の顔より大輪に 光枝
真白の日傘の動くばらの園 光枝
青嵐岩のごとくに黒茶碗 真知子
♦選者の一句
白ばらは草の香りと思はずや 櫂
【第三句座】
♦特選
ばらの風ばらが聴きゐるばかりなり 栄順
観覧車降りて夏草なつかしき 緑
長靴の泥の乾くやばらを踏む 光枝
咲く薔薇も散りたる薔薇もかをりけり 真知子
♦入選
けさ解きし真紅の薔薇の衣かな 遊歩
いち日を薔薇のかをりに埋もれけり 真知子
♦選者の一句
フランスの大統領へ薔薇の束 櫂
