小林凜君のドキュメンタリー番組を視聴して
九月一日、NHKテレビ(Èテレ)で「蜆蝶我の心の中で舞え-少年俳人・小林凜」が放映されました。
ご存じのよう、凜君は小学校の時からいじめに遭い、不登校にもなりました。その間に詠んだ俳句が、朝日俳壇で長谷川櫂先生にもとりあげられました。凜君の書いた「ランドセル俳人の五・七・五」の発行部数は十万部を超え、世間の注目を集めました。季語と歳時記の会で発行した「大人も読めるこども歳時記」にも凜君の俳句が数多く紹介されています。
今回の番組は、凜君がまだ中学生で不登校だった三年前から高校生になった現在までの成長を映しています。凜君は、「俳句はどんなに嫌なことでも俳句にしてしまえば、けっこう楽になるし、すごくしんどくてつらい過去でも、ああこんなことあったなとそんなに悪くない感じに変えられる。」と述べていました。彼の辛い過去を通して、俳句が生きる力になってきたことが十分に伺えました。
番組は、小林凜君と昨年亡くなられた聖路加病院の日野原重明先生の交流を軸に構成されていましたが、番組全体を通して、凜君の生活の中に俳句が息づいている様子が印象的でした。小林凜君は3月の「きごさい全国小中学生俳句大会」にも参加し、その映像もあったのですが、今回は使用されませんでした。
視聴して、俳句の力を改めて感じると共に、小林凜君の人間的な成長をとても感じることができました。(報告=小山正見)