甘草(かんぞう/かんざう) 初夏
【子季語】
あまくさ/あまき
【解説】
ロシアを原産とするマメ科の多年草で、根は乾燥させて生薬に利用する。草丈は五十センチから一メートルくらい。夏から秋にかけて葉腋から総状花序を出して淡紫色の蝶形の花を咲かせる。
【科学的見解】
カンゾウ類は、中国北部から南ヨーロッパの乾燥地帯に生育するマメ科の多年草であるウラルカンゾウとスペインカンゾウが知られている。両者は、ショ糖の百倍以上の甘味を有するといわれているグリチルリチン酸を多く含んでいるため、甘味料や薬用として現在でも盛んに利用されている。近縁種として、甘味成分を有していないイヌカンゾウという種も存在する。(藤吉正明記)
【例句】
甘草の咲き添ふ石の野中めき
松本たかし「鷹」