囀(さえずり、さへづり)三春
【子季語】
囀る、鳥囀る
【関連季語】
鳥交る
【解説】
春、鳥たちは繁殖期を迎え、恋の歌をうたう。これが囀。鳥の鳴声は四季を通して聞くことができるが、季語としての「囀り」は春の求愛の鳴声のこと。
【来歴】
『世話盡』(明暦2年、1656年)に所出。
【例句】
囀りに鳥は出はてて残る雪
北枝「しるしの竿」
囀もかへりがけなる小鳥かな
浪化「浪化上人発句集」
囀るや蔵も障子も木々の影
淡々「淡々句集」
囀や籠からも雲をさし覗き
蝶夢「草根発句集」
泥の裾かヽげ歩くに囀れり
古泉「倦鳥」
森うしろ染めて暮るるに囀れる
大須賀乙字「炬火」
囀やあはれなるほど喉ふくれ
原石鼎「花影」
囀やピアノの上の薄埃
島村元「ホトトギス雑詠選集」
紺青の乗鞍の上に囀れり
前田普羅「春寒浅間山」
囀の甘えたりしが後と静か
川端茅舎「華厳」
囀をこぼさじと抱く大樹かな
星野立子「鎌倉」
方丈の軒をこぼれてさへづれり
長谷川櫂「蓬莱」