粟(あわ/あは) 仲秋
【子季語】
粟の穂/粟餅/粟飯/粟畑
【解説】
イネ科一年生の作物。五穀(稲、麦、黍、稗、粟)のひとつで昔は大切にされた。原産地は東アジアだが、世界各地で古くから栽 培されている。草丈は一メートルほどで、花のあと黄色い実を結ぶ。現在は餅や菓子、小鳥の餌などに利用されるくらいでさほど栽培されない。
【科学的見解】
アワは、古い時代に日本へ導入され、昔は全国各地で栽培されていたイネ科の一年生作物である。果実は、小球状で黄色を帯びている。モチ性の粘りのあるモチアワも知られている。変種として、全体がやや小型になるコアワが存在し、コアワも昔は各地の畑で栽培されていたとのことである。本種は、日本の野生植物のエノコログサに近い仲間(同属)である。(藤吉正明記)
【例句】
よき家や雀よろこぶ背戸の粟
芭蕉「真蹟懐紙」
粟畑の奥まであかき入日かな
空芽「有磯海」
粟がらの小家作らむ松の中
涼菟「続猿蓑」