早松茸(さまつたけ) 晩夏
【子季語】
さまつ
【解説】
キシメジ科。松茸に先立って夏に出る茸。傘の径五~二十センチ、 柄の長さ五~二十センチ。松茸に似て茶褐色。松茸のような強い 香りはないが新鮮なうちは茸らしい香りがある。歯ごたえが良く 鍋物、炊き込み御飯などに利用する。
【科学的見解】
広辞苑で早松茸を調べると、六から七月頃に出るマツタケに似た茸(キノコ)と示されている。この解釈では、梅雨時となるため梅雨茸の一つに含まれるが、この時期に土から出てくる大型のキノコを示しているのかもしれない。もう少し時期が後であれば、九月や十月頃にバカマツタケやマツタケモドキ等のマツタケに似た近縁種が広葉樹の森等で出現する。日本国内のマツタケは、一般的に十月から十一月頃にアカマツ林で出現するが、気温の低下が早い山間部ではその時期よりも早くマツタケが発生する。例えば、富士山の亜高山帯針葉樹林では、八月頃にマツタケが収穫されており、それも早松茸もしくはさまつと表現してもよいのかもしれない。(藤吉正明記)
【例句】
ほととぎす確かに峰の早松茸
丈草「柿表紙」