獣交む(けものつるむ) 三春
【子季語】
獣交る/種つけ/種かけ/種馬/種牛
【解説】
発情期を迎えた狸、狐、栗鼠などの獣が交尾すること。春に多いが、鹿のように秋から冬にかけて発情期を迎える獣もいる。牛や馬などは、人が種付をする場合が多い。
【科学的見解】
赤道付近から離れた地域に生息する哺乳類の繁殖には、太陽の日の出から日の入りまでの日の長さ(日長)が大きな影響を与えていることが知られている。植物も同じ仕組みで開花時期を調整しているが、哺乳類は日長を感知することで同種内の繁殖の時期を特定の季節に限定し、種を維持してきた。日が長くなる春から夏にかけて繁殖行動を行う哺乳類を長日(性)繁殖動物と呼ぶ。一方、秋から冬にかけて日の短い時期に繁殖を行う哺乳類を短日(性)繁殖動物と呼ぶ。しかしながら、いずれの繁殖においても、哺乳類の多くは春から夏にかけて出産し、食べ物の豊富な良い条件で仔を育てられるようにしている。(藤吉正明記)