熊穴を出づ(くまあなをいづ) 仲春
【子季語】
熊穴を出る
【解説】
熊は冬の間、木の穴や洞窟にもぐって過ごす。しかし完全な冬眠ではなく、蓄積した脂肪分などの栄養を費やしつつ寝て過ごす。メスはこの時期に子を産んで育てる。雪解けの始まる頃、親熊は穴を出て木や草の芽を求めて歩きまわる。子熊は母熊について歩き回る。
【科学的見解】
日本に生息するクマ類はニホンツキノワグマとエゾヒグマである。共にネコ目(食肉目)クマ科の哺乳類であり、大陸に生息するツキノワグマとヒグマの亜種とされている。
両亜種共に越冬中に出産し、一もしくは二仔を産む。雌は出産後、巣穴の中で授乳を行い、仔育てを行う。春に巣穴から出るころになると、仔の体重は出産直後の五倍以上に成長する。母仔は一から二年ほど共に暮らし、主に二年目の夏ごろに仔別れする。(藤吉正明記)