若紫(わかむらさき) 仲春
【解説】
根から紫の染料をとる、むらさきの若苗。紫紺と呼ばれる根は、薬用にも用いられる。初夏五弁の小さな白い花をつける。五十センチから八十センチくらいになり、山地に自生する。
【科学的見解】
ムラサキは、ムラサキ科の植物であり、北海道から九州の乾いた林や草原に生える多年草である。太い根には、シコニンと呼ばれる紫色の染料が含まれているため、昔から染色に利用されてきた。現在では、野生のものが急激に減少しており、絶滅危惧種になっている。野山に行っても野生のものはほとんど見られない。似た種としては、ホタルカズラやイヌムラサキが知られている。(藤吉正明記)