海老根(えびね)仲春
【子季語】
蝦根/藪えびね/ししのくびすの木/山うばら/鈴ふり草/黄えびね
【解説】
日本各地の山地や丘陵の落葉広葉樹林に生育するラン科の多年草。横に連なる塊茎を海老に見立ててこの名がある。春、幅五、六センチの長い楕円の葉の間から三十センチほどの花茎を出し、十個前後の淡紫の花をつける。萼片の紫褐色が特徴。
【科学的見解】
エビネは、ラン科の常緑性多年草で、北海道西部以南から沖縄にかけて広く分布する。主な生育場所は、山野の樹林内である。花は、白色から赤紫、褐色まで個体により形や色が大きく変化する。そのため、愛好家が多く、採取もされることから、近年個体数を急激に減少させており、多くの都道府県で絶滅危惧種に指定されている。近縁種としては、キンセイラン、ナツエビネ、キソエビネなどが存在する。(藤吉正明記)