鷦鷯(みそさざい) 三冬
【子季語】
三十三才/冑蝶/巧婦鳥
【解説】
スズメ目ミソサザイ科ミソサザイ属。縞模様の入った茶褐色の体色で、全長は十センチ程度。尻尾を鋭角に上げる。平地や里に近いい山中に棲み、非繁殖期には民家にも入り込む。
【科学的見解】
ミソサザイは、ミソサザイ科の野鳥で、全国的に広い範囲で繁殖するが、山地の木々の茂った樹林内を主な生息環境とし、冬になると低地に現れる場合がある。広葉樹と針葉樹が交わる混交林で見かける場合が多い。樹林内の地表面を飛び跳ねながら昆虫類を捕食する。日本で確認されているミソサザイ科の鳥類は本種のみで、近縁種はアメリカ大陸に多く生息している。(藤吉正明記)
【例句】
笹垣のどちらに啼くぞみそさざい
去来「草刈笛」
夕ぐれや井戸から出たる鷦鷯
許六「正風彦根躰」
身ひとつを里に来鳴くか鷦鷯
凡兆「柞原」
足がろに竹の林やみそさざい
惟然「枯尾花」
夕暮れの篠のそよぎやみそさざい
蓼太「蓼太句集初編」
竹伐りの股くぐりけりみそさざい
闌更「三傑集」
積みかへる榾に敷かれなみそさざい
樗堂「萍窓集」
雪花をまぶたにつけてみそさざい
梅室「梅室家集」
ひとり来てひとり動けり三十三才
森澄雄「餘日」