山桜桃の花(ゆすらのはな) 晩春
【子季語】
梅桃の花/英桃の花
【解説】
中国原産、バラ科の落葉低木。四月中頃、新葉とほぼ同時に、白か薄紅の素朴な花を咲かせる。葉は桜の葉を小型にした形で、生毛が密集。六月頃には、艶やかな紅い実をつける。梅に似ていることから、ゆすら梅ともよぶ。
【科学的見解】
ゆすらの標準和名は、ユスラウメである。ユスラウメは、バラ科の落葉低木で、古い時代に中国から導入された植物である。近縁種としては、同じく中国から導入されたニワウメが知られている。ユスラウメの花は、白色から桃色をしており、五枚の花弁はほぼ水平に開く。ニワウメも含め両種とも低木で、可愛らしい小振りのウメの花に似た花を咲かせることから、庭園等の植栽木として利用されている。(藤吉正明記)
【例句】
ゆすら花咲くや庭木の小暗がり
秋虹「新類題発句集」
万両にゆすらの花の白き散る
正岡子規「子規全集」