落し水(おとしみず/おとしみづ) 仲秋
【子季語】
田水を落す/水落す/堰外す
【解説】
稲穂が垂れ始めたころ、水口を塞ぎ、田の尻の畦を切り、不要となった水を落とす。そうして刈入に備え田を干す。
【例句】
阿武隈や五十四郡のおとし水
蕪村「落日庵句集」
村々の寝ごころ更けぬ落し水
蕪村「蕪村句集」
藪越えて鼬わたれり落し水
亀六「秋の夜」
水落ちて田面をはしる鼠かな
蝶夢「草根発句集」
泥亀の流れ出でたり落し水
夏目漱石「漱石俳句集」
落し水静かにきけば二つとも
西山泊雲「ホトトギス誌雑詠選集」
水落し来て子の間に寝まるなり
久米三汀「返り花」
田から田の段々水を落しけり
室生犀星「魚眠洞発句集」
稲妻に水落しゐる男かな
村上鬼城「定本鬼城句集」