綿菅(わたすげ) 晩夏
【解説】
カヤツリグサ科の多年草。深山・高層の湿地に群生する。養分の 少ないやせた土地を好む。尾瀬ケ原・霧ケ峰・八幡平・日光戦場 ヶ原等で大群落が見られる。花が終わった後、実につく白い綿毛 が目につくが、五~六月頃咲く花は地味で目立たない。綿菅の綿で埋め尽くされた湿原は心に残る風景である。草丈は二十~五十センチ。
【科学的見解】
ワタスゲは、北海道と本州中部以北のミズゴケ湿原に生育する多年草である。茎葉の先端に白い綿毛をつけるところが特徴である。近縁種としては、北海道の高山帯の湿地に生育するエゾワタスゲが知られている。また、白い綿毛を有し、小穂は数個で下向きにつけるサギスゲという種も存在する。(藤吉正明記)