萵苣の花(ちしゃのはな) 初夏
【子季語】
苣の花/苣の薹
【解説】
萵苣(レタス)は、キク科アキノノゲシ属の一年草または二年草。サラダなどに利用される野菜である。初夏一メートルほどにもなる花茎を伸ばし、花径二センチほどの菊に似た黄色い花を咲かせる。
【科学的見解】
チシャは、キク科の二年草で、ヨーロッパから野菜として導入された植物であり、現在では品種改良がおこなわれ品種名としてレタスやサラダナが主に利用されている。チシャの古名は、チサとのことである。レタスの場合は、結球性となり葉が玉状にまとまるが、開花前になると結球していた葉が解け、短かった茎が伸びることでその先に舌状花のみで構成された頭花を複数つける。このような仕組みは、結球性のアブラナ科野菜であるハクサイやキャベツも持ち得ており、茎を高くし、その先端付近に花をつけることでミツバチ等の花粉媒介昆虫に見つかりやすくすることや結実後の種子散布をしやすくすること等につながっている。(藤吉正明記)
【例句】
食ひくうて眺められけり苣の薹
木朶「新類題句集」
道滝へ近づくちさの落花かな
大谷句仏「我は我」