狐の子(きつねのこ)三春
【子季語】
子狐
【解説】
狐はイヌ科の哺乳類で、イヌに似た体型を持つ小動物である。冬に発情し、三月から四月にかけて、三頭から多いときで十頭もの子を産む。生まれたときの体色は黒っぽく、体重は百十グラムほどである。五ヶ月くらい親と一緒に暮らし、秋には親離れする。
【科学的見解】
キツネは、ネコ目(食肉目)イヌ科の哺乳類である。大陸のアカキツネに対して、日本には北海道にキタキツネ、東北から九州までにホンドキツネの二亜種が存在している。亜種とは、補助的な分類階級の一つであり、種の下に位置付けられた分類単位である。亜種は、基準となる種に対して形態や性質的な差異が小さい場合に用いられている生物学的分類階級である。
その両亜種は、人里近くの低山から高山までの森林に生息しているが、林縁部の草地や農耕地でも見かけることが多い。仔育てのため、日当たりが良く土の軟らかい斜面に自力で巣穴を掘る場合もあるが、アナグマの使い終わった古巣が見つかればそれらを利用する場合もある。交尾期は十二月から翌年二月まである。出産は春先の三月から四月ごろで、平均四仔を巣穴で出産し、夏まで家族集団で仔育てを行う。出産直後の仔は黒色からは灰色の体色をしているが、成長とともに体色が茶褐色に変化していく。(藤吉正明記)