まくなぎ 三夏
【子季語】
めまとひ、めまわり、めたたき、糠蚊、揺蚊
【解説】
夏、人の顔などにまつわりつく小さな羽虫。風のない日の夕暮れどきに野道や河原、林などに出てくる。人の目の中へも入り込むので「めまとい」ともいわれる。
【来歴】
『糸屑』(元禄7年、1694年)に所出。
【実証的見解】
ハエ目ヌカカ科の昆虫の総称。体長は一ミリから三ミリほどで、一部の種類の雌は、蚊と同様に人や家畜の血を吸う。蚊よりも小さく、ひとかたまりとなって飛ぶ。刺された直後に痒みや痛みはないが、あとで腫れと痒みがくる。
【例句】
蠛蠓や土塀崩れて棕櫚くらき
幸田露伴「露伴全集」
蠛蠓や多摩の山河をうごかし
川端茅舎「川端茅舎句集」