万歳(まんざい) 新年
【子季語】
千秋万歳、万歳楽、御万歳、門万歳、三河万歳、加賀万歳、大和万歳、万歳大夫
【関連季語】
才蔵市
【解説】
新年を祝う門付けの一つであり、主役の万歳大夫と脇役の才蔵との二人組で行われる。その家が千年も万年も栄えるようにと賀詞をのべる。才蔵の鼓に合わせて舞ったり歌ったり、滑稽な問答を交わしたりする。
【来歴】
『花火草』(寛永13年、1636年)に所出。
【実証的見解】
万歳は出身地によって、三河万歳、大和万歳、尾張万歳などと地名を冠して呼ばれる。もともとは室町時代の下層民の千秋(せんず)万歳が起源とされる。主役の万歳太夫は、風折烏帽子に紋服姿で手に扇を持つ。脇役の才蔵は大黒頭巾をかむって鼓を打つ。昔、江戸では、「才蔵市」なるものが立ち、万歳太夫が相方の才蔵をその市で見つけたという。
【例句】
やまざとはまんざい遅し梅の花
芭蕉「真蹟懐紙」
万歳や左右にひらいて松の陰
去来「柞原」
万歳にあはれや老の拍子ぬけ
土芳「蓑虫庵集」
万歳の踏みかためてや京の土
蕪村「落日庵句集」
万歳や飯の吹きたつ竈の前
太祇「太祇句選」
万歳や門に居ならぶ鳩雀
一茶「七番日記」
万歳や黒き手を出し足を出し
正岡子規「寒山落木」
万歳も乗りたる春の渡かな
夏目漱石「漱石俳句集」