福寿草(ふくじゅそう、ふくじゆさう) 新年
【子季語】
元日草
【解説】
福寿草は、花のこがね色とその名がめでたいことから新年の花とされる。元日草ともいわれるように、古くから元日に咲くように栽培されてきた。
【来歴】
『毛吹草』(正保2年、1645年)に所出。
【科学的見解】
福寿草(フクジュソウ)は、キンポウゲ科フクジュソウ属の多年草で丈は十センチほど。観賞用に栽培されるほか日本各地に広く分布する。花は黄色で、人参に似た葉を持つ。花期は二月から四月。近年、野生のフクジュソウは、個体数が激減しており、多くの都道府県で絶滅危惧種に指定されている。(藤吉正明記)
【例句】
福寿草一寸物の始なり
言水「初心もと柏」
花よりも名に近づくや福寿草
千代女「真蹟」
小書院のこの夕ぐれや福寿草
太祗「太祗句選後篇」
朝日さす弓師が見せや福寿草
蕪村「蕪村遺稿」
ひともとはかたき莟やふく寿草
召波「春泥発句集」
ふく寿草蓬にさまをかくしけり
大江丸「はいかい袋」
帳箱の上に咲きけり福寿草
一茶「九番日記」
福寿草硯にあまる水かけん
晩得「哲阿弥句藻」
暖炉たく部屋暖かに福寿草
正岡子規「子規句集」
福寿草咲くを待ちつつ忘れたる
佐藤紅緑「花紅柳緑」
光琳の屏風に咲くや福寿草
夏目漱石「漱石俳句集」
花の中影なかりけり福寿草
高田正子「花実」
妻の座の日向ありけり福寿草
石田波郷「酒中花」