若菜(わかな) 新年
【子季語】
朝若菜、磯若菜、磯菜、京若菜、千代菜草、祝菜、粥草、七草菜
【関連季語】
七種
【解説】
七種粥に入れる菜の総称。新春の菜は香りが強く精気に満ちている。その気をいただいて、一年を健やかに過ごそうというのが七種粥。春の七草は芹、薺(なずな)、御形(ごぎょう)、繁縷(はこべら)、仏の座、菘(すずな)、蘿蔔(すずしろ)をいう。今ではパックにしてスーパーなどで売られている。
【来歴】
『増山の井』(寛文7年、1667年)に所出。
【文学での言及】
明日よりは春菜採まむと標めし野に昨日も今日も雪降りつつ 山部赤人『万葉集』
国栖等が春菜採むらむ司馬の野のしましま君を思ふこのごろ 作者不詳『万葉集』
あづさゆみおして春雨今日降りぬ明日さへ降らば若菜摘みてむ よみ人しらず『古今集』
君がため春の野に出でて若菜摘むわが衣手に雪は降りつつ 光孝天皇『古今集』
春日野の若菜摘みにや白妙の袖ふりはへて人のゆくらむ 紀貫之『古今集』
君がため春の野に出でて若菜つむわが衣手に雪は降りつつ 光孝天皇『古今六帖』
【例句】
源氏ならで上下に祝ふ若菜哉
親重「犬子集」
青し青し若菜は青し雪の原
来山「続今宮草」
雪の戸や若菜ばかりの道一つ
言水「前後園」
蒟蒻に今日は売かつ若菜哉
芭蕉「俳諧薦獅子集」
霜は苦に雪に楽する若菜哉
嵐雪「きれぎれ」
老の身に青みくはゆる若菜かな
去来「追鳥狩」
つみすてゝ踏付がたき若な哉
路通「猿蓑」