【子季語】
浅き春、春淡し、浅春
【解説】
立春をすぎたのに、まだ春めいていない感じをいう。暖かいところでは梅が咲き、目白などが飛び交っているが、東北の日本海側などではまだ厚い雪に覆われている。風も冷たく、時には厳寒のころの気温に戻ったりもする。雪の中から蕗の薹を見つけるのもこのころ。「早春」よりも主観の入った季語と言えよう。
【例句】
病牀の匂ひ袋や浅き春
正岡子規「子規全集」
白き皿に絵の具を溶けば春浅し
夏目漱石「漱石全集」
浅春の火鉢集めし一間かな
前田普羅「普羅句集」
美しき人を見かけぬ春浅き
日野草城「花氷」