春暁(しゅんぎょう、しゆんげう)三春
【子季語】
春の曙、春の夜明、春の暁、春の朝明、春曙
【解説】
春の夜明けである。正確には暁は日の出前の未明をいい、夜の明ける気配はあるものの、あたりはまだ薄暗い。同じ夜明けでも曙は暁よりも遅く、日の出前をいう。
【来歴】
『俳諧二見貝』(安永97年、1780年)に所出。
【文学での言及】
春は、あけぼの。やうやう白くなりゆく山ぎは 少しあかりて紫だちたる雲の細くたなびきたる。清少納言『枕草子』
【例句】
春の曙その七もとや秘蔵蔵
支考「蓮二吟集」
春暁や大いなる鮫獲れしとふ
原石鼎「花影」
ふるさとの春暁にある厠かな
中村草田男「長子」
長き長き春暁の貨車なつかしき
加藤楸邨「寒雷」
春暁や人こそ知らね木々の雨
日野草城「花氷」
春暁の衣垂れたる衣桁かな
日野草城「花氷」
春暁や筧二つの同じ音
増田龍雨「龍雨句集」
赤子泣く春あかつきを呼ぶごとく
森澄雄「天日」
春暁の竹筒にある筆二本
飯田龍太「忘音」
春暁や大雪山を浮べたる
長谷川櫂「初雁」
春あけぼの引越の荷に囲まれて
高田正子「花実」