紫雲英(げんげ) 仲春
【子季語】
げんげん、げんげん花、五形花、蓮華草、れんげ、げんげ田
【解説】
春、田んぼなどに紅紫色の花を一面に咲かせる。田んぼに多く栽培されるのは、これをすき込んで肥料にするため。花が一面に咲いているところが、雲がたなびくようなのでこの名がついた。
【来歴】
『俳諧通俗誌』(享保2年、1716年)に所出。
【科学的見解】
ゲンゲは、マメ科ゲンゲ属の多年草で、中国原産の外来植物。茎は根本から枝分かれし、地を這うように広がる。葉は小葉からなるは羽状複葉。四月ころ、葉腋から花柄を出して、蝶型の紅紫色の花を咲かせる。根には、粒状の根粒が形成され、根粒内の窒素固定細菌の働きで、植物へ窒素栄養分が供給される。その窒素分豊富な植物体を土壌に鋤きこんで畑の肥料にするほか、蜜蜂の蜜源としても利用される。(藤吉正明記)
【例句】
野道行けばげんげんの束すててある
正岡子規「子規句集」
げんげんを打ち起したる痩田かな
正岡子規「子規句集」
わが庭のげんげん肥えて色薄し
正岡子規「子規句集」
げんげ田や花咲く前の深みどり
五十崎古郷「五十崎古郷句集」