秋近し(あきちかし) 晩夏
【子季語】
秋隣、秋隣る、秋の隣、来ぬ秋、秋迫る、秋風近し
【解説】
晩夏のころ、藍を帯びはじめた空の、一刷の白い雲や、木々のそよぎに、秋が近いことを感じる。
【例句】
波の音も秋風近し西のうみ
玄旨「九州道の記」
けに涼しあすくる秋の雲の色
和風「三千化」
物の葉のそよきに濱の秋近し
里紅「藤首途」
秋近き心のよるや四畳半
芭蕉「鳥の道」
変化めく雲や一夜の秋近し
浪化「白扇集」
窓の火や秋を隣の藪の中
逸洞「水薦刈」
鏡見てゐる遊女の秋近き
正岡子規「子規句集」