凌霄の花(のうぜんのはな) 晩夏
【子季語】
凌霄、凌霄葛、のうぜんかづら
【解説】
夏に咲く蔓性植物の花。花はオレンジ色で漏斗状。樹木や塀に絡まって高々と咲き上る。中国原産で古くから庭木として植えられている。花の色が特異なのでかなり目立ち存在感がある。咲いた先から次々に散るので、地上に散り敷くさまも美しい。
【来歴】
『俳諧初学抄』(寛永18年、1641年)に所出。
【科学的見解】
ノウゼンカズラは、ノウゼンカズラ科ノウゼンカズラ属の蔓性植物で原産地は中国。付着根を出して樹木などを高々と這いのぼる。ぎざぎざのある葉は奇数羽状で対生する。七月から八月にかけて枝先に円錐花序を出し漏斗状のオレンジ色の花を咲かせる。近縁種としてアメリカノウゼンカズラが存在するが、小葉が小さく、花は筒形で先だけが開くので、区別できる。(藤吉正明記)
【例句】
凌霄の咲くや田中の薬師堂
露羔「東華」
凌霄や水なき川を渡る日に
蒼「蒼発句集」
凌霄や木を離れては何処這ん
桃隣「古太白堂句選」
のうぜんや真白き函の地震計
日野草城「青芝」
家毎に凌霄咲ける温泉かな
正岡子規「子規全集」