柿の花(かきのはな) 初夏
【子季語】
柿の薹
【関連季語】
柿若葉
【解説】
梅雨のころ、柿は黄色をおびた白色の花をつける。若葉と一緒に咲くためあまり目立たない。落ちやすい花で、地面などに散らばっているのを目にすることもある。
【来歴】
『増山の井』(寛文7年、1667年)に所出。
【科学的見解】
柿の木(カキノキ)は、カキノキ科カキノキ属の落葉高木。北海道をのぞく日本全土に分布する。高さは十メートルくらいになる。六月ころ葉腋に壺型の黄緑色の花をつける。雌雄同株で、雌花は雄花より大きい。互生する葉は、十センチくらいの楕円形または卵形で、表面には光沢がある。園芸品種が多数存在し、果実は甘いものと渋いものがある。カキノキは、日本の数少ない在来果樹の一つである。(藤吉正明記)
【例句】
渋柿の花ちる里と成にけり
蕪村「新花摘」
鞍つぼに酒吸ふ門やかきの花
暁台「暁台句集」
役馬の立ち眠りする柿の花
一茶「八番句集」
山畑や昼ほととぎす柿の花
岡本癖三酔「癖三酔句集」
湧き起る黒雲に龍柿の花
長谷川櫂「初雁」