明易(あけやす)三夏
【子季語】
明易し、明やす、明早し、明急ぐ
【関連季語】
短夜
【解説】
夏の夜の明けが早いことをいう。科学現象としては短夜と同じだが、短夜は夜が短いことをいうのに対して、明易は、明け急ぐ夜を嘆く思いが増さる。春分を境に一日一日昼の時間が長くなり、夏至にいたってそれが最長になる。場所にもよるが、早いときで午前四時頃には白々としてくる。農作業などをするによく、早起きが楽しい頃である。
【来歴】
『毛吹草』(正保2年、1645年)に所出。
【例句】
足洗ふてつい明け易き丸寝かな
芭蕉「真蹟拾遺」
象潟や苫屋の土座も明やすし
曾良「乞食嚢」
廻廊に夜の明けやすし厳島
涼菟「八景集」
明け易き夜やすり鉢のたまり水
梅室「梅室家集」
明易や花鳥諷詠南無阿弥陀
高浜虚子 「七百五十句」
すぐ来いといふ子規の夢明易き
高浜虚子 「七百五十句」
子鴉の細枝踏んで明け易し
大谷句仏「我は我」
明易や吹き寄せられし島一つ
長谷川櫂「初雁」