萍(うきくさ)三夏
【子季語】
萍の花、浮草、鏡草、根無草、青萍
【関連季語】
萍生ひ初む、
【解説】
沼や池の水面に浮いて殖えるの緑色の草。繁殖力が旺盛で、水田などでは稻に害をなす。
【来歴】
『毛吹草』(正保2年、1645年)に所出。
【科学的見解】
萍(ウキクサ)は、ウキクサ科の一年生草本植物であり、近縁種として三属七種程度が存在する。水田や沼、池なども水面に群生して浮かぶ。日本全域に自生し、熱帯から温帯にかけて世界中に分布する。茎と葉の区別がなく、扁平な卵形の葉状体で長さ五ミリから八ミリくらい。裏は紫色を帯び、その中央から十本ほどの根がぶら下がる。その根の着点から、幼植物が分かれて繁殖する。八月から九月にかけて、小さくて目立たない袋状の包がまれに生じ、包の中には一個の雌花と二個の雄花からなる花序ができる。水底に沈んで越冬する。(藤吉正明記)
【例句】
流れ流れて萍花のさかりかな
来山「すがた哉」
萍を岸につなぐや蜘の糸
千代女「千代尼発句集」
浮草を払へば涼し水の月
几董「井華集」
うき草を吹あつめてや花むしろ
蕪村「蕪村句集」
萍の花より低き通りかな
一茶「享和句帖」
古池や花萍のひるさびし
内藤鳴雪「改造文学全集」
萍に亀乗りかけてやめにけり
松本たかし「松本たかし句集」