木犀(もくせい)晩秋
【子季語】
木犀の花、金木犀、銀木犀、薄黄木犀、桂の花
【解説】
金木犀は橙黄色の花。銀木犀は白色の花。九月、中秋のころに花をつける。花は小さいが香りは高く、庭木に広く用いられる。芳香は金木犀の方が強い。爽やかな風に漂う香りは、秋の深まりを知らせてくれる。
【科学的見解】
金木犀(キンモクセイ)は、モクセイ科モクセイ属の常緑樹木である。中国原産で、外来種として公園や庭に植栽されている。日本には、基本的に雄株しか導入されていないため、結実はめったに見られない。同種の一変種として白花のギンモクセイが存在し、稀に植栽されている。その他、在来の木犀の仲間としては、ヒイラギ、リュウキュウモクセイ、シマモクセイ、オオモクセイ等が存在する。ヒイラギは、関東以西から沖縄にかけて分布し、葉に刺(歯牙)があるが香りが良いために、庭木としても利用されている。(藤吉正明記)
【例句】
木犀の昼は醒めたる香炉かな
嵐雪「夢の名残」
木犀にかしらいたむやたたみさし
大江丸「はいかい袋」
木犀の香に染む雨の鴉かな
泉鏡花「鏡花全集」
木犀に土は色濃うして膨らめる
原月舟「月舟全集」
木犀や屋根にひろげしよき衾
石橋秀野「桜濃く」
天つつぬけに木犀と豚にほふ
飯田龍太「百戸の谿」