葡萄(ぶどう、ぶだう)仲秋
【子季語】
甲州葡萄、マスカット、デラウェア、黒葡萄、葡萄園、葡萄棚、葡萄狩
【解説】
ブドウ科。蔓性でどんどん伸びる。葉は心臓形でぎざぎざしている。緑色の粒状の花をつける。八月から十月にかけて実が熟し、食用、ジャム、ワインなどになる。
【科学的見解】
葡萄は、ブドウ科ブドウ属に属するつる性落葉樹木であり、生食及び加工用の品種のほとんどはヨーロッパ種とアメリカ種が活用されている。日本でなじみの深い生食用葡萄の品種は、巨峰(ヨーロッパ種とアメリカ種の交雑種)、デラウェア(アメリカ種)、マスカット・オブ・アレキサンドリア(ヨーロッパ種)などがある。日本の在来葡萄としては、数種類存在しているが、代表的な種としてはヤマブドウが知られている。ヤマブドウは、北海道・本州・四国に分布し、山地の林内や林縁部に自生してる。(藤吉正明記)
【例句】
雫かと鳥もあやぶむ葡萄かな
千代女「千代尼句集」
枯れなんとせしをぶだうの盛りかな
蕪村「夜半叟句集」
後の月葡萄に核の曇り哉
成美「成美家集」
黒葡萄天の甘露をうらやまず
一茶「九番日記」
黒きまで紫深き葡萄かな
正岡子規「子規句集」
亀甲の粒ぎつしりと黒葡萄
川端茅舎「川端茅舎句集」
掌に葡萄を置いて別れけり
前田普羅「定本普羅句集 」
葡萄食ふ一語一語の如くにて
中村草田男「銀河依然」