木の実(このみ)晩秋
【子季語】
木の実落つ、木の実降る、木の実の雨、木の実時雨、木の実独楽、木の実時
【解説】
櫟・橡・椎・樫など木になる実の総称。食べるために拾い集めたり、かわいらしい形に惹かれて拾い集めたりする。独楽などのおもちゃにするものもある。落ちている木の実を踏んで野山を歩くのも趣がある。
【例句】
籠り居て木の実草の実拾はゞや
芭蕉「後の旅」
鶴一つ痩せて秋待つ木の実かな
支考「浜荻」
猪の庭踏む音や木の実ふる
太祗「太祗句選後篇」
芝舟の底に三ッ四ッ木の実かな
一棟「田毎の日」
木の実降る石に座れば雲去来
杉田久女「杉田久女句集」
憂き人の肩に音ある木の実かな
石橋秀野「桜濃く」
木の実のごとき臍もちき死なしめき
森澄雄「所生」
厭な風出て来し山の木の実かな
飯田龍太「遅速」