蔦(つた)三秋
【子季語】
蔦紅葉、蔦の葉、錦蔦、蔦かずら
【解説】
蔓性で物にどんどん這い回る。山野に自生するが、街なかの外壁や石垣などにも見ることが出来る。晩秋には紅葉して木や建物を赤々と染め上げる。青蔦は夏の季語。
【科学的見解】
蔦(ツタ)は、ブドウ科ツタ属のつる性木本植物である。日本在来の植物で、北海道から九州の山野に普通に見られる。別名として、ナツヅタとも呼ばれる。葉は、三出複葉の葉と単葉の二タイプが存在し、成長とともに単葉に変化していく。ツタと間違えやすい植物として、木蔦(キヅタ)が存在するが、キヅタは常緑性なので容易に区別がつく。(藤吉正明記)
【例句】
桟やいのちをからむ蔦かづら
芭蕉「更科紀行」
蔦植て竹四五本のあらし哉
芭蕉「野ざらし紀行」
苔埋む蔦のうつゝの念仏哉
芭蕉「花の市」
夜に入らば灯のもる壁や蔦かづら
太祇「太祇句集」
石山の石にも蔦の裏表
乙州「韻塞」