鯨(くじら、くぢら)
三冬
【子季語】
初鯨、勇魚、抹香鯨、座頭鯨、長須鯨、白長須鯨、鰯鯨、背美鯨、小鯨
【解説】
日本の海域を鯨は餌を追って回遊する。昔から捕獲、食用されてきた。特に番となる冬季は活動が活発になる。潜水のあと潮を噴きあげる様は壮観である。
【例句】
船繋ぐ裏門高しはつ鯨
野坡「野坡吟草」
暁や鯨の吼ゆる霜の海
暁台「暁台句集」
鯨売市に刀を鼓しけり
蕪村「蕪村句集」
大風に吹かれて去りぬ鯨売
石井露月「露月句集」
牛に乗つて鯨見るなり佐渡の浦
藤野古白「古白遺稿」
鯨よる浜とよ人もたゞならず
尾崎紅葉「紅葉句帳」
なつかしや山人の目に鯨売
原石鼎「花影」
凩に鯨潮吹く平戸かな
夏目漱石「漱石全集」
よき人の夢の中ゆく鯨かな
長谷川櫂「新年」