鷹(たか)三冬
【子季語】
のすり、八角鷹、熊鷹、鶚、青鷹、蒼鷹、もろがへり、大鷹
【解説】
ワシ、タカ科の中形の鳥類の総称で、色彩は主に暗褐色。嘴は強く鋭く曲がり、脚には強い大きな鉤爪があり小動物を襲って食べる。鷹狩に使われているのは主に大鷹である。蒼鷹(もろがえり)は、生後三年を経たたかのこと。
【科学的見解】
鷹はタカ科の野鳥で、日本では二十種類以上が記録されている。有名な種としては、クマタカ、オオタカ、ノスリ、トビ等である。これらの全ては肉食性であり、哺乳類や両生・爬虫類、昆虫類等を捕食している。これら四種は、九州以北の低地から山地の林内で繁殖し、主に留鳥として分布している。クマタカは個体数が少なく、標高の高い山地に依存しているが、その他の三種は人里近くの農耕地や市街地にも出現することがある。(藤吉正明記)
【例句】
鷹一つ見付けてうれし伊良古崎
芭蕉「笈の小文」
夢よりも現の鷹ぞ頼もしき
芭蕉「鵲尾冠」
鷹の目の枯野にすわるあらしかな
丈草「菊の香」
あら浪に山やはなれて鷹の影
麦水「葛箒」
落し来る鷹にこぼるる松葉かな
白雄「白雄句集」
鷹来るや蝦夷を去る事一百里
一茶「寛政句帖」
鷹とほる柿爛熟の蒼の中
飯田龍太「春の道」
ただ一つ飛びゆく鷹のさびしさよ
長谷川櫂「虚空」