海鼠(なまこ)三冬
【子季語】
生海鼠、赤海鼠、黒海鼠、虎海鼠、なしこ、ふじこ、このこ、海参、海鼠突、海鼠売、海鼠舟、かいそ
【解説】
種類は多いが食用とするのは、真海鼠(まなまこ)など数種。冬が旬であり、格好な酒肴となる。内蔵からは海鼠腸(このわた)卵巣からは(このこ)が取れる。左党垂涎の味覚。
【例句】
生きながら一つに冰る海鼠哉
芭蕉「続別屋敷」
俎板の氷をぬめるなまこかな
太祇「新五子稿」
引き汐のわすれて行きしなまこかな
蝶夢「草根発句集」
おもふこといはぬさまなる海鼠かな
蕪村「落日庵句集」
憂きことを海月に語る海鼠かな
召波「春泥句集」
魚市のとぼりて寒き海鼠かな
村上鬼城「定本鬼城句集」
海鼠噛む遠き暮天の波を見て
飯田龍太「涼夜」
一桶の氷にまじる海鼠かな
長谷川櫂「初雁」
ひつそりと海鼠の水に泡ふたつ
高田正子「玩具」