浮寝鳥(うきねどり)三冬
【子季語】
浮鳥
【解説】
毎年越冬のため、毎年日本に渡ってきて川や湖沼で一冬を過ごす水鳥の群れ。鴨・雁・鳰・鴛鴦・白鳥などが、水面に浮かんで眠るさまをいう。おおかたは羽根に首を突っ込みまるまった姿で浮いている。
【例句】
鳥共も寝入ってゐるか余呉の海
路通「猿蓑」
暁の山を越え来てうきね鳥
暁台「暁台句集」
月澄むや音なき水に浮寝鳥
蘭更「半化方合句集」
江戸橋やつい人馴れて浮寝鳥
一茶「七番日記」
水鳥のおもたく見えて浮きにけり
鬼貫「鬼貫句集」
汽罐(かま)のもの火のまゝ棄つる浮寝鳥
久米三汀「返り花」
燦爛と波荒るゝなり浮寝鳥
芝不器男「定本芝不器男句集」
この旅の思ひ出波の浮寝鳥
星野立子「笹目」
浮寝鳥よべは大きな月の中
長谷川櫂「初雁」