鷲(わし)三冬
【子季語】
犬鷲、尾白鷲、大鷲
【解説】
日本には、犬鷲、大鷲、尾白鷲の三種類が生息している。人には 害を加えず、生きている鳥や、獣、魚を餌とする。鷲は鳥の中で 最も体が大きく勇猛である。
【科学的見解】
鷲はタカ科の野鳥で、特に分類学的なタカとワシの区別はなく、タカ科の中でも比較的体長の大きい鳥を示す名称である。日本で確認されるワシという名の鳥類は、冬鳥として渡来するオオワシやオジロワシ、主に本州の山地に留鳥として生息するイヌワシや沖縄石垣島や西表島に生息するカンムリワシ等が知られている。カンムリワシはワシという名が付けられているが、大きさはトビより小さい野鳥である。それらの中で最も大きくなるのはオオワシで、雄が約九十センチメートル、雌は一メートルを超える大きさとなる。オオワシは、北海道東部海岸付近に多く渡来し、海岸近くの木や流氷にとまり、主に大型魚類を捕食する。(藤吉正明記)
【例句】
鷲の巣の樟の枯枝に日は入ぬ
凡兆「猿蓑」
磯鷲はかならず岩にとまりけり
原石鼎「石鼎全集」