口切(くちきり)初冬
【子季語】
壺の口切、口切茶事、口切茶会
【解説】
その年の新茶を葉のまま陶器の壺に入れ、口を封じて保存する。冬にその封を切り、茶臼でひいて茶をたてる。口切の茶事として客を招いてふるまう。もっとも晴れがましい茶会として、しつらいや装いに気を配る。
【例句】
口切や今朝はつ花のかへり咲く
風虎「江戸蛇之鮓」
口切に堺の庭ぞなつかしき
芭蕉「深川」
口切のとまり客あり峰の坊
太祗「石の月」
口切りや湯気ただならぬ台所
蕪村「落日庵句集」
口切りの庵や寝て見るすみだ河
几董「井華集」
口切りや寺へ呼ばれて竹の奥
召波「春泥発句集」
口切りに残りの菊の蕾かな
松瀬青々「明治俳句」